活用術 約14分

業務ツールを増やしすぎた会社へ。Slack・Google・Microsoft 365を棚卸しする手順

PYXORA

Slack、Google Workspace、Microsoft 365、タスク管理、会計、勤怠、顧客管理、社内ポータル。気づいたら、仕事で使うツールがかなり増えていないでしょうか。

一つひとつは必要だから導入したものです。けれど、数が増えるほど「どこを見ればいいのか」「どの通知に反応すればいいのか」「誰が管理しているのか」が分かりにくくなります。

業務ツールの棚卸しで大事なのは、いきなり解約リストを作ることではありません。ツールの役割、入口、通知、連携先を見える化することです。

この記事では、AsanaやAtlassianのコンテキストスイッチに関する解説、Slack・Google Workspace・Microsoft 365の公式ヘルプを参考に、小さな会社やチームでも始めやすい棚卸し手順を整理します。

この記事はこんな人向けです

  • Slack、メール、Google Workspace、Microsoft 365、タスク管理、社内SaaSが増えすぎている
  • 同じ用途のツールが複数あり、どれを正式な入口にするべきか迷っている
  • 使っていない連携アプリや通知が残っている気がする
  • ツールを減らしたいが、現場が困らない進め方を知りたい
  • ブラウザタブ、チャット、メール、管理画面の行き来を減らしたい
  • 毎日使うWebサービスの置き場所を整理したい

最初から完璧に整理しなくて大丈夫です。まずは、今あるものを見える形にするところから始めます。

業務ツールの問題は「数」だけではなく、入口の多さで起きる

業務ツールが増えるとき、本当に困るのは数そのものよりも、仕事の入口が増えることです。

Asanaのコンテキストスイッチに関する記事では、タスク、アプリ、プロジェクト間で注意を切り替えることが負担になると説明されています。Slack、メール、タスク管理、プロジェクト管理などを短時間で行き来する状態は、仕事に入る前から頭の切り替えを増やします。

Atlassianも、Slack通知、緊急メール、短い会議などで作業の流れが途切れる例を挙げ、作業の可視化や優先順位づけ、深い作業の境界設定、非同期コミュニケーションの管理などを対策として紹介しています。

よくある状態起きやすいこと棚卸しで見ること
Slackにもメールにも同じ連絡が来るどちらを正式な入口にするか迷う連絡の種類ごとに入口を決める
Googleログインで複数サービスを使っているどのアプリがデータへアクセスしているか見えにくい接続済みアプリと権限を確認する
Microsoft 365にアプリやアドインが増えている誰が何を使っているか把握しにくい管理ポータルで一覧化する
通知が多い作業中に何度も中断される通知を出すツールと理由を見る

つまり、棚卸しの目的は「ツールを減らすこと」だけではありません。仕事の入口を減らし、見る順番を決めやすくすることです。

まず全ツールを4種類に分ける

最初にやることは、契約一覧をきれいに作ることではありません。今あるツールを、ざっくり4種類に分けます。

種類判断のポイント
毎日使うSlack、Gmail、Googleカレンダー、Chatwork、タスク管理置き場所と通知ルールを固定する
部署・案件で使う顧客管理、制作管理、会計、勤怠、プロジェクト管理利用者と責任者を明確にする
たまに使う年数回の申請、レポート、管理画面、契約更新確認ブックマークや管理者メモで十分か見る
もう使っていない退職者が入れたアプリ、誰も見ていないSaaS、用途不明の連携止める候補として期限を決めて確認する

この4分類だけでも、かなり見え方が変わります。

特に大事なのは、「たまに使うもの」と「もう使っていないもの」を分けることです。年に数回しか使わないツールでも、法務、会計、申請、契約更新などで必要なものはあります。逆に、誰も使っていないのに通知や権限だけ残っているツールは、確認対象にした方がよいです。

棚卸し表には、ツール名だけでなく入口・通知・権限を入れる

ツール棚卸しで失敗しやすいのは、一覧表が「ツール名」と「料金」だけで終わることです。

もちろん費用も大事です。ただ、日々の働きやすさに効くのは、どこから開くのか、誰が通知を受けるのか、どのデータへアクセスしているのかです。

まずは、次の項目で表を作ると整理しやすくなります。

項目見る理由書き方の例
ツール名何があるかを把握するSlack、Google Drive、Teams、会計SaaS
用途同じ役割の重複を見つける顧客連絡、ファイル共有、社内会議、請求
主な利用者全社・部署・個人利用を分ける全員、営業、制作、管理者のみ
入口どこから開くかを見るブラウザ、Slack連携、Googleログイン、Teamsアプリ
通知作業を止める入口を確認するDM通知、メール通知、アプリ通知、バッジ
連携先・権限データアクセスと安全確認のためGoogle Drive、カレンダー、メール、Teams
費用残す・止める判断材料にする月額、年額、無料、更新日
次の判断行動へつなげる残す、まとめる、止める候補、要確認

この表は、最初から完璧でなくて構いません。まず30分だけ時間を取り、分かる範囲で書き出します。空欄が出た場所こそ、あとで管理者や利用者に確認するポイントです。

Slackは「連携アプリ」と「誰が追加できるか」を見る

Slackを使っているチームでは、チャンネル数や通知設定だけでなく、アプリ連携も棚卸し対象になります。

Slackの公式ヘルプでは、Googleカレンダー、OneDrive、社内専用ツールなどをSlackと連携できること、またデフォルトではメンバー全員がアプリをインストールできる一方で、オーナーや管理者がインストール権限を制限できることが説明されています。Slack Marketplaceには多くのアプリがあり、アプリごとにアクセスできる情報や権限スコープを確認する観点も示されています。

Slack棚卸しでは、次の3つを見ます。

  1. 使っているアプリ
  2. 使っていないが残っているアプリ
  3. 誰が新しいアプリを追加できるか
確認すること見る理由
アプリ一覧いつの間にか増えた連携を見つける
通知を増やしているアプリSlackが中断の入口になっていないか見る
権限スコープどの情報へアクセスできるか確認する
インストール権限誰でも追加できる状態か、承認制かを確認する
管理者・責任者不要になったときに誰が止めるか決める

Slackは便利だからこそ、仕事の入口になりやすいツールです。便利な連携が増えすぎて、逆に通知と確認場所を増やしていないか。ここを見るだけでも、整理する価値があります。

Google Workspaceは「データにアクセスしたアプリ」を見る

Google Workspaceを使っている場合は、ブラウザで見えているサービスだけでなく、Googleデータへアクセスしているアプリも棚卸し対象です。

Google Workspace Helpでは、Googleアカウントでアプリにログインする場合、組織データへのアプリのアクセス権を管理できると説明されています。Google管理コンソールのOAuth 2.0設定では、Google所有、社内、サードパーティのアプリを管理し、設定済みアプリ、アクセスしたアプリ、審査待ちのアプリなどを確認する流れが示されています。

ここでのポイントは、「社員が開いている画面」だけでは分からない接続もあることです。

確認対象見ること
設定済みアプリ組織として許可・設定したアプリ
アクセスしたアプリ実際にGoogleデータへアクセスしたアプリ
審査待ちアプリこれから許可するか判断が必要なアプリ
サードパーティアプリ外部サービスがどのデータへアクセスするか
ブロック・限定・信頼設定どこまで使わせるかのルール

これは管理者向けの確認です。現場メンバーがすべて見る必要はありません。

ただ、現場側でも「Googleでログインしているツール」「Google Driveやカレンダーと連携しているツール」「もう使っていないのに残っていそうな連携」をメモしておくと、管理者確認が進めやすくなります。

Microsoft 365はアプリ・アドイン・Teamsアプリを一覧で見る

Microsoft 365を使っている会社でも、同じようにアプリやアドインの棚卸しが必要です。

Microsoft Learnでは、Microsoft 365 admin centerのIntegrated apps portalで、アプリ、エージェント、アドインを1つのポータルからデプロイ・管理できると説明されています。Microsoft MarketplaceアプリやカスタムLOBアプリ、Office Add-ins、Teams専用アプリ、SaaSアプリなども管理対象として示されています。

つまり、Microsoft 365の棚卸しでは「Teamsを使っているか」だけでは足りません。

見る場所棚卸し対象
TeamsTeams専用アプリ、通知、チャンネル内の連携
OfficeWord、Excel、Outlookなどのアドイン
Microsoft 365 admin center組織内ユーザーがアクセスできるアプリ一覧
SaaS連携外部サービスとの接続、配布済みアプリ
カスタムLOBアプリ社内用に作られた業務アプリ

小さな会社では、Microsoft 365の細かい管理画面を毎週見る必要はないかもしれません。けれど、半年に1回でも「どのアプリが配布されているか」「誰が管理しているか」を見るだけで、放置された入口を減らしやすくなります。

すぐ解約せず、残す・まとめる・止める候補に分ける

棚卸し表ができたら、次は判断です。

ただし、ここで急に「使っていないから解約」と決めると危険です。過去のデータ、顧客対応、請求、法務、社内履歴などが残っている場合があります。

最初は、次の3つに分けるだけで十分です。

判断条件次のアクション
残す毎日使う、用途が明確、責任者がいる入口と通知ルールを整える
まとめる同じ用途のツールが複数ある、通知が重複しているどちらを正式な入口にするか決める
止める候補利用者・用途・責任者が曖昧期限を決めて確認し、データ退避や解約を検討する

特に「まとめる」は大事です。

ツール削減というと、すぐに解約を想像しがちです。でも実務では、いきなり減らすより、まず正式な入口を1つにするだけで効果が出ることがあります。

たとえば、次のような整理です。

  • 顧客連絡はSlackではなくChatworkに寄せる
  • 社内確認はTeamsに寄せ、メール通知は減らす
  • ファイル共有はGoogle Driveを正式にし、個人のローカル保存を減らす
  • 会議リンクはGoogleカレンダーまたはMicrosoft 365の予定に必ず入れる
  • たまに使う管理画面は、ブックマーク集や社内メモにまとめる

「どれを消すか」より先に、「どれを正式な入口にするか」を決める。この順番の方が、現場の反発も少なく進めやすくなります。

毎日使うWebサービスは「置き場所」を決める

棚卸しの最後にやることは、毎日使うWebサービスの置き場所を決めることです。

Slack、Gmail、Googleカレンダー、Chatwork、会議ツール、タスク管理。これらを全部ブラウザタブに置くと、調査タブや制作ページ、ニュース、管理画面と混ざりやすくなります。

置き場所は、会社の働き方に合わせて決めれば大丈夫です。

置き場所向いている使い方注意点
ブラウザ単発の調査、管理画面、制作作業タブが増えると常駐サービスが埋もれやすい
Chromeプロファイル仕事用・個人用・顧客用を分けるプロファイルやウィンドウ自体が増えすぎることがある
専用アプリ毎日見るチャット・メール・予定を固定する対応サービスや運用ルールを決める必要がある
PYXORAChatwork、Gmail、Slack、会議ツールなどを1つのMacアプリへまとめるMac向け。棚卸し後に「残すもの」の置き場所として使うのが自然

PYXORAは、Chatwork、Gmail、Slack、会議ツールなどのWebサービスを1つのMacアプリにまとめるためのデスクトップアプリです。アカウントごとにログイン状態を分け、⌘1〜⌘9で切り替えられるため、毎日使うサービスの置き場所を固定しやすくなります。

ただし、PYXORAを入れれば棚卸しが終わるわけではありません。先に「残すもの」「まとめるもの」「止める候補」を分け、そのうえで毎日使うサービスの置き場所として検討するのが現実的です。

1時間でできる棚卸しミニテンプレ

最初から全社のツールを完璧に調べる必要はありません。まずは1時間だけ、次の順番で進めてみてください。

時間やること完了条件
0〜10分思いつく業務ツールを書き出す10〜30個ほど名前が出ている
10〜20分4種類に分ける毎日使う、部署/案件、たまに使う、使っていない候補に分かれている
20〜35分入口と通知を書くブラウザ、Slack、Googleログイン、Microsoft 365などが見えている
35〜50分連携先・責任者を書く分かる範囲で管理者・利用者が書かれている
50〜60分残す・まとめる・止める候補に分ける次に確認する3〜5項目が決まっている

空欄が残っても問題ありません。

むしろ、空欄は「誰に聞けばよいか」を教えてくれます。Google Workspaceの管理者、Slackのワークスペースオーナー、Microsoft 365の管理者、経理担当、現場リーダー。次に確認する相手が見えれば、棚卸しは前に進みます。

まとめ

業務ツールが増えすぎたとき、いきなり解約や統合から始める必要はありません。

まず見るべきなのは、次の5つです。

  1. どのツールを何のために使っているか
  2. どこから開いているか
  3. どの通知が作業を止めているか
  4. どのアプリや権限が連携しているか
  5. 残す・まとめる・止める候補をどう分けるか

Slack、Google Workspace、Microsoft 365には、それぞれアプリや連携、権限を管理する考え方があります。コンテキストスイッチを減らすには、ツールの数だけでなく、仕事の入口を整えることが効いてきます。

仕事環境の整理は、派手な改善ではありません。けれど、毎日見る場所が決まると、探す時間、迷う時間、通知に引っ張られる時間を減らしやすくなります。まずは1時間だけ、今ある業務ツールを書き出すところから始めてみてください。

参考リンク

よくある質問

業務ツールの棚卸しは、何から始めればよいですか?
最初はツール名を全部出すより、毎日使うもの、部署や案件で使うもの、たまに使うもの、もう使っていないものの4種類に分けると整理しやすくなります。
SlackやGoogle Workspaceの管理者でなくても棚卸しできますか?
利用者目線の棚卸しはできます。どのツールを何のために使っているか、通知が多い入口はどこかを先に整理し、連携アプリや権限の確認は管理者に依頼する流れが現実的です。
使っていないSaaSはすぐ解約した方がよいですか?
すぐ解約するより、利用者、用途、保存データ、連携先、契約更新日を確認してから判断するのがおすすめです。誰も責任者がいないツールは、止める候補として期限を決めて確認します。
PYXORAはツール棚卸しにどう関係しますか?
PYXORAはChatwork、Gmail、Slack、会議ツールなど毎日使うWebサービスを1つのMacアプリにまとめる選択肢です。棚卸し後に、残すサービスの置き場所を固定したい場合に役立ちます。

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